第138章口を開ければ、すべての病気が消える

騒ぎの起きた方へ、皆がいっせいに視線を向けた。

シャーロットもその視線を追う。

先頭に立っていたのはジェームズだった。完璧に仕立てられた黒いスーツに身を包み、サファイアのカフスが、まるで自分で光を放っているかのようにきらりと閃く。

ジェームズの顔には、気怠げな傲慢さが漂っていて、周囲の誰とも違う輪郭を与えていた。

彼の目は、ここが自分の領地だと言わんばかりに会場をなぞり、近くにいる者たちを無言の圧で萎縮させる。

目立たぬようにしているつもりでも、彼がそこにいるだけで、視線は吸い寄せられてしまうのだ。

数歩遅れてノラが続く。青緑のドレスを纏い、髪は上品にまとめ上げられていた。喉元の翡...

ログインして続きを読む